2004年10月22日薬事法違反の疑いによるアラブイスラーム文化協会のジャミーラ高橋千代代表の逮捕について
2004年10月27日
特定非営利活動法人PEACE ON
代表理事 相澤恭行
10月22日、アラブイスラーム文化協会のジャミーラ高橋千代代表並びに医薬品製造販売会社社長をはじめとする関係者4人が薬事法違反(無許可販売など)の疑いで逮捕されました。昨年のイラク戦争開戦前からイラクに関わり、戦争中も「人間の盾」として活動していた私は、当時ジャミーラさんには大変お世話になっておりました。一部報道で、「『人間の盾』メンバーら逮捕〜」などという見出しがついたことで、支援者などからその関連を説明してほしいというご要望もありましたので、当時の彼女との活動の経緯、そして現在もイラクでの支援ならびに文化交流活動に関わるNGOとして、この度の逮捕に関する見解を述べさせていただきます。逮捕という段階でこのようにコメントしていいものか、やはり裁判を経てからにするべきかとも思いましたが、いずれにしてもNGOとして、大切な寄付金をこのように未承認の医薬品の購入に費やすということは、あってはならないことだと思っています。
私は昨年のイラク戦争開戦前、ジャミーラさんが主宰されたイラク国際市民調査団に参加して初めてイラクを訪れ、イラクの一般市民と交流することが出来ました。ジャミーラさんの力なしでは、当時私のような一般市民がイラクに入国することは大変困難でありました。これはイラク支援、また取材に関わる人々の多くに言えることだと思います。
そしてイラク戦争開戦後、私は欧米の平和団体が主催したHUMAN SHIELDS「人間の盾」に参加して、一般市民の被害を出来るだけ防ごうという目的でバグダッド市内の浄水施設に首都陥落まで滞在しました。戦争抑止力としての効果については疑問もあり、両親をはじめ日ごろお世話になっているみなさまに多大な心配と迷惑をかけたことには猛省しましたが、遺体回収作業のお手伝いをするなど、爆弾を落とされる側から戦争というものを目の当たりにし、同時にそこで日常を生きるイラクの一般市民との交流を深めることができたことは、今ではかけがえのない財産となっております。
その活動の際にも、ジャミーラさんは4月6日に出国されるまで、イラクの受け入れ団体との折衝など、日本人参加者のとりまとめ役として活動されていました。当時の活動のなかで出会ったイラク人との友情から、現在の活動につなげることができたことを思うたびに、そのきっかけを作ってくださったジャミーラさんには感謝の気持ちでいっぱいになります。それゆえに、この度の逮捕のことはとても残念でなりません。
一部報道では、ジャミーラさんがこの度の逮捕の案件となった未承認の医薬品「有機ヨード・ネオマキス」を「人間の盾」の参加者らに譲渡もしていたとみられているとありますが、私は全く受け取っておりません。また「人間の盾」は支援団体ではないので、薬品等の支援活動は行っておりませんでした。
4月18日、「人間の盾」活動から帰国後、私は「イラク支援市民ネットワーク」の一員として、報告会等で寄付金を呼びかけるなど、ジャミーラさんのイラク支援活動をサポートしてきました。当時から有機ヨード剤についての問題点は他の支援者などから指摘されており、イラクに送ることについては反対してきました。また、会計報告の不明瞭さなど、支援活動に対する考え方の相違から、残念ながらこれ以上ジャミーラさんの活動をサポートすることは限界と判断し、8月でネットワークが事実上解散した後、自ら責任者としてNGOを立ち上げることを決意しました。当時関係者によって問題点を解決できなかったことについては、本当に残念に思います。
なお、当時私の報告会、講演等でいただいてジャミーラさんに預けてきた寄付金の総額244,711円は全て返金してもらいました。その寄付金は全額昨年10月PEACE
ONの第一回目の支援活動に充て、各講演会主催者のみなさまには収支報告をすることができました。それ以降、ジャミーラさんの活動には一切関わっておりません。
ジャミーラさんがどのような経緯で未承認の医薬品を取り扱うようになったのか、現時点では逮捕というだけで詳しい事実関係はわかりません。しかし、やはり人様からお預かりした大切な寄付金をそのような疑いのあるものに使うということは、許されることではないと思います。ましてや医薬品は命に関わるものですからなおのことです。ジャミーラさんには、たとえ時間はかかってもなぜこのようになってしまったのか支援者のみなさまにしっかりと説明していただきたいと思っています。そうでなければ、イラクの人々にとっても、私たちイラクと関わる人々にとっても、あまりにも悲しすぎます。
PEACE ONのイラクプロジェクトでは、主に障害者福祉施設等へのスクールバスをはじめとする不足する備品の支援、ならびに文化交流活動が中心ですが、引き続き支援者の方からご指定があれば、いまだ不足している抗がん剤の支援も行っていきます。その場合も、もちろん従来通りイラクの医師からの依頼に沿った形で、原則としては処方箋に従って正式に認可された医薬品のみをお届けいたします。
一部報道ではジャミーラさんのことを「反米主義のイスラム教徒」など、必要以上の説明が加えられているようで、平和運動や市民運動に対する印象を悪くさせようという意図も感じられて非常に残念です。そしてこの度の逮捕が今後のNGOのイラク支援に与える影響は、決して小さくないと思いますが、日に日に悪化するイラク情勢、まだまだ支援は必要です。これを機にNGOとしては襟を正し、より現地のニーズにあった活動、そして支援者に対する情報開示の徹底を心がけ、これからのイラクと日本、そして世界の市民による平和的な協力関係の構築に向けて、私たちひとりひとりに何ができるのかを考え、行動を続けていきたいと思います。