(03/16)

3月16日 火曜日
ドーラ地区のベイルート小学校に、兵庫の香呂南小学校と福岡の須恵第三小学校の生徒さんたちが作ってくれた千羽鶴、天の川、そして手作り絵本などを届けに行く。全校生徒数は550人。1クラス40人で14クラスある。教員数は30人でそのうちの一人はサラマッドの母親だ。戦争や略奪による直接の被害は少なかったものの、学校周辺の水はけが非常に悪く、校舎の周囲が汚水に取り囲まれていてまるで濠をめぐらせているかのようである。時々学校内にも浸水してくるらしいが、改善の目処は全く立っていないという。

いくつかのクラスを訪れて、日本の子どもたちからの贈り物を紹介し、また代表の生徒さんが書いてくれたメッセージをアラビア語に訳してもらったものを、サッター校長に読み上げてもらった。子どもたちは興味津々と手作りの作品に見入り、また手作り絵本で遊んで大いに盛り上がっていた。

メッセージには「夢や希望を捨てないで、元気を出してがんばってください」というように励ます内容のものが多かったが、戦前から戦中、そして現在にいたるまで、ここの学校の生徒たちに限らずイラクの子どもたちの多くは夢や希望に満ち溢れていて、元気すぎるくらい元気に全力で毎日を駆け抜けて生きていると思う。

もちろんサダムの圧政下や戦争、そして占領下の掃討作戦などで家族を失った子どもたちや、逆に家族から見捨てられて路上生活をしている子どもたちがいるという現実はあり、そうした子どもたちが抱える心の傷は、きっと計り知れないものがあるだろう。打ち棄てられていく彼らの心の痛みを、わからないながらも出来るだけ彼らの気持ちになって考えることは、いかに大切で尊いことであるかは言うまでもない。しかしまたイラクはいかなる環境下でも子どもが最も子どもらしく生きている国でもあると思う。彼らと触れ合っていると、ああ、こうやって笑えばよかったんだよなあとか、人間が生きていくうえで大切なことにたくさん気づかされるのだ。人類の宝物、子どもたちの笑顔。それは戦前に初めて訪れてからというもの私を魅了して止まず、ついに一年で四度も足を運ばせるほどである。

校長先生は、いまこそこうした交流が必要なのですと言ってくれた。確かにこの占領下でイラクの子どもたちは世界の子どもたちからの友情を必要としている。しかしまた同時に、世界の子どもたち、とりわけ日本など自分たちが豊かで進んでいる国に住んでいると思っている子どもたちこそ、イラクの子どもたちからの友情が必要なのではないかとも思う。一日も早く、イラクと日本の子どもたちが直接会って交流できることを切に願う。

午後はサドゥン通りの医療器具販売店でアルヌーア盲学校の保健室などのリクエストに応じて買い物。ホテルに戻るとフリージャーナリストの安田純平君がバグダッド到着したとの書置きがあった。その後すぐ会ったが、今日は誕生日で友人のイラク人にパーティーに呼ばれているらしく、挨拶もそこそこに祝いの宴に出かけていった。

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