(03/11)

3月11日 木曜日
朝6時半頃常岡さんがホテルをチェックアウト。乗り合いタクシーでアンマンまで向かうという。昨日契約を済ませた2台目のマイクロバスのエンジンチェックも無事終了。AL-AMALろう学校に挨拶に行きたかったのだが、午後になってしまったので後日にすることに。また今日はサラマッドのお母さんの体調が優れないらしく、彼が病院へ連れて行くというので、午後は一人カラダ通りを歩いて買い物などを楽しんだ。

通りは人で賑わい活気に溢れている。私を見かけるたびに「ハロー、ミスター」「ヤバニー(日本人)、グッド」「ウェルカム」と皆屈託のない笑顔で気さくに話しかけてくる様子は、戦前、戦中を通して全く変わっていない。歩いているだけで妙に愉快になってしまう国、それが私にとってのイラクだ。彼らは一体どのようにして、心に深く刻み込まれた苦悩の時代の傷跡を、生きる力に純化させる術を身に付けてきたのだろうか。排気ガスの臭いはたまらないし、ゴミだらけの不衛生極まりない通りではあるけれど、それらと眩惑されるほど強烈な人間の生きるエネルギーとが渾然一体となり、清濁合わせて自らの生命に否応なく注ぎ込んでくる。すると何やら沸々と深奥部から湧き上がってくるのを感じ、それに身を委ねて歩を進めるたびに新しい命との交歓が始まるようだ。やはりこの国は豊かなのだと思う。石油や農産物だけではない。古の時代から続くこの国の豊かさの源泉は人にある。

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